◆熱闘をありがとう

 甲子園が終わりました。今年の高校野球はいつになく熱戦が多かったように思います。史上最多といわれる4019校の頂点に立ったのは智弁和歌山でした。
 
 金属バットから快音を発して打ち返される、すさまじいばかりの猛打に高校野球ファンは興奮しました。通算100安打、11本塁打はいずれも大会新記録だそうです。「投低高打」といわれる最近の高校野球ですが、智弁和歌山の打力は群を抜いていました。たゆまぬ努力の結果だと思います。おめでとう。

 決勝戦の相手、東海大浦安の健闘も賞賛されます。後半に力つきたとはいえ、序、中盤は常に1歩先を行っていました。

 戦いすんで勝者が泣き、敗者も泣きました。喜び、悔しさ、の涙ばかりではなかったはずです。胸中に様々な思いが去来した涙であった、と想像しています。
 その中にあって、浦安の2塁手が毅然と胸を張っていたのが印象的でした。彼は足を故障した主戦投手の代役として、この日も終盤までマウンドで頑張りました。「やるだけやったので、悔いはありません」。涙のない顔で智弁の校歌を聴いていました。
 涙もさわやか、涙なしもまたさわやかでした。ジーンと目頭が熱くなりました。
 
 今大会の入場者は81万3000人だったそうです。これは昨年の74万人を大きく上回る数字です。一時は、入場者が減少して「高校野球危うし」とささやかれたこともありましたが、今年を見る限り、不死鳥のように完全復活したようです。
 高校生が関係した暗いニュースがあまりに多い昨今。それとは表裏をなす汗まみれの熱闘の明るさに多くの人が惹かれるのではないでしょうか。

 球場は焦熱地獄です。グランドの選手と観客が一体になって汗を流します。これがたまらないのです。今回は好試合が続出でした。とくに準々決勝の4試合がすべて1点差。これでどっと盛り上がったように思われます。
 私も高校球児でした。北海道の片田舎でしたから、甲子園など夢のまた夢、霞の彼方でしたが、それでも毎日頑張りました。
 毎夏、後輩球児たちから健康エキスをちょうだいしている身としては、心底から「今年も熱闘をありがとう」と、感謝の気持ちでいっぱいです。