◆狂った思考回路

 また、15歳の高校生1年生による殺人事件が発生しました。

 大分県の農村で近所の一家を襲い、サバイバルナイフで3人を殺害し、3人に大けがをさせたものです。

 「フロをのぞき見した」と注意されたことを根に持って、一家皆殺しを計画したということです。

 岡山県の高校3年生が金属バットで部活の野球部後輩を殴打し、さらに母親を殺害して逃走するという、ショッキングなニュースがあったばかりです。

 その他、高校生を含む少年による殺人事件は「枚挙にいとまがない」ほどです。

 不可解なのは殺人にいたる動機です。

 精神鑑定に回されるケースも多いようですが、司法の場で理解できないことが増えているのだと、思われます。

 私たちは、捜査や取り調べの経過を新聞紙上やテレビ番組を通じて知るわけですが、「そんな些細なことで」とか「何を考えているのだろう」などと、背筋を冷たくさせられる場合がほとんどです。

 少年たちの思考回路が狂ってしまった、としか言いようがありません。

 「人間は感情の動物」などとも言われます。
 
 しかし、普通の場合は感情の先に理性という基盤があって、さらに再考、抑制などの回路へと接続されて、「馬鹿なことはするまい」の結論が導き出されるのだと思います。

 最近の少年犯罪を見ると、理性の基盤が失われて、感情から先は激情、逆恨みへの回路に直結されて、「やったれ」へと暴走してしまうのでしょう。

 「一家が冷たく感じられたから皆殺しだ」、「自分が後輩を殴り殺した(実際は傷害)ので、母親が殺人者の親と言われては忍びないから、母親も殺してしまった」。

 理性ある思考からは考えも及ばない、軌道を外した発想に恐怖を感じます。

 「なぜ、そうなった?」については、専門分野の先生たちが、あれこれ発言しています。

 「情報化社会が進んで、個々の世界が構築され、家庭が崩壊してきたから」、「過激なゲーム、劇画、テレビの影響だ」等々、です。

 どれも、これもが当たっているように思います。

 それでは、どうすれば狂い始めた思考回路を「人間の生命は地球よりも重い」という、本来の回路に戻せるのか、国民急務の課題になってきました。

 現役の新聞記者として活躍中の友人、酒井久二夫氏が私宛のメールで「今年は世の中全体がどないかなってます。警察から始まって国はおろか銀行、商社、病院、食品、百貨店に、大人を殺す少年たちだけではなく、我が子を殺す親までいて! 人間社会だけでなく自然までが火を吹き、大地を揺らし、焼け付く日差しを容赦なく降り注ぐ。20世紀がまさに音を立てて崩れ行くようでもあります」と、嘆いておりました。

 まったくその通り、です。

 少年のことばかりを書きましたが、大人たちの回路も狂ってきました。

 「景気建て直し」一辺倒から「荒廃人心の建て直し」へと、官民あげての取り組みが迫られている20世紀末です。

 とはいっても「神の国」やら「強制ボランティア体験」などの発想はいただけません。