◆五輪メダルはく奪

 この2週間、テレビの前に陣取る時間が長かったシドニー五輪が終わりました。
 
 マラソンの高橋尚子、柔道の田村亮子、井上康生、滝本誠、野村忠宏選手の金メダル、ソフトボールの7連勝、シンクロナイズスイミングのダブル銀など日本選手の活躍に興奮したのが、もはや夢のような気がします。

 世界のトップレベルの選手が競うオリンピックは、さすがに見応えがあり、感動を与えてくれました。

 その一方で、今回もまたメダルはく奪という暗いニュースがいくつもありました。

 ブルガリアの重量挙げ選手3人が禁止薬物使用(ドーピング)の陽性反応があったとして、金、銀のメダルをはく奪されました。

 さらに体操女子個人総合で優勝したルーマニアのアンドレーア・ラドゥカン選手がドーピング検査で興奮剤の陽性反応が認められて、金メダルはく奪。

 閉会式当日にも重量挙げ選手2人がはく奪されるという悲劇が起こりました。

 ラドゥカン選手の場合は、チームドクターのすすめで飲んだ風邪薬が原因でした。
 本人は薬の知識に乏しく、知らずに服用したというので、同情も集まりましたが、メダルはく奪の処分は変わりませんでした。

 最近のオリンピックでは、ドーピングは減少傾向にあったといわれます。
 
 夏季五輪の例では1984年のロサンゼルス大会で12件、88年のソウル大会で10件、92年のバルセロナ大会で5件と減り、96年のアトランタ大会では2件でした。

 それが今大会では9件に増え、五輪史上4番目のワースト記録になりました。

 ところで、同情を集めたラドゥカン選手についてです。
 16歳という少女でもあり、気の毒には思いますが、IOC(国際オリンピック委員会)のいうように「決まりは決まり」なのです。

 少女ではあっても国を代表する選手です。
 たとえ風邪薬でも、試合前に服用することの影響を考えるべきでした。
 過去の五輪や世界大会でも風邪薬に含まれる興奮剤が検出されて、メダルを失った選手がいるからです。

 この場合、ドクターが悪いのは当たり前ですが、コーチはどうしていたのでしょうか。
 不正をして得たメダルは、発覚した時点ではく奪されるのは当然です。

 「五輪でメダルを」は、スポーツを志す選手たちの悲願です。メダルを獲得すれば選手やコーチの生活が保障される国もある、と聞きます。
 
 不正を承知で筋肉増強剤などを使用する選手、それを黙認するコーチは、名誉とその後に付いてくるものの誘惑に負けて危険を冒すのでしょうか。

 五輪村のゴミ捨て場から注射器が発見されたとか、「ドーピングをしないものはバカだ」といってはばからないコーチがいたとか、そんな報道もありました。
 
 繰り返される「はく奪」の悲劇は、五輪を汚すだけです。

 サマランチIOC会長が「史上最高の五輪だった」とほめあげたシドニー大会。ドーピングの増加だけが、唯一の汚点だったように思われます。
 
 4年後はオリンピック発祥に地、アテネ大会。原点に返って「クリーンな勝者」だけが表彰台にあがる大会であってほしいと期待しています。