◆やっぱり変だよ小泉さん

 アフガニスタン復興支援会議へのNGO(非政府組織)2団体の参加拒否問題を巡って政府は、国民がもっと知りたい根っこの部分を隠したまま「けんか両成敗」の処置で事足れりとしたいようです。

 田中外相を更迭すれば自らの支持率低下は見え見えなのに、小泉さんは真相を究明しないままになぜ更迭を強行したのでしょうか。

 マスコミや衆参両院の予算委員会質疑、NGO団体代表の会見などを通して2団体が参加拒否を言い渡されるに至った経緯を知ったわけですが、それはあくまでも表向きのものでしかありません。

 国民が知りたいのは「開催直前になって、外務省がなぜ参加拒否を決めたのか」なのです。

 「外務省は族議員の横やりだったと言っている」、「イヤ、そんなことは言っていない」のやり取りは、国会という崇高な場所で行うにはふさわしくない内容のように言われました。果たしてそうでしょうか。

 自民党の幹部、特に当の族議員を抱える橋本派幹部は「外務省のうちわゲンカ」だの「幼稚なケンカ」だのと、内輪のケンカであるをことさらに強調してみせました。

 しかし、彼らが「単なるケンカだ」と声高に発言すればするほど「なんか変な臭いがするぞ」との思いが強くなりました。そのように感じたのは私だけではないと思います。

 そして、小泉首相は「混乱国会を正常に戻すため」、「外務省内の意見不統一」などを理由に田中外相、野上事務次官の外務省トップを更迭し、渦中にあった族議員・鈴木宗男衆院国会運営委員長も辞職するという「ケンカ両成敗」の形でことを収めようとしました。

 国会質疑では返答に窮する外務省幹部に助け船さえ出して、野党の質問を押さえ込もうとする場面もありました。

 小泉さんは大岡裁きのつもりかも知れませんが、この対処は国民の多くに不満を与える結果になりました。

 「田中を切れ」は、橋本派ばかりではなく、森・前首相周辺からも公然と声が挙がり、官邸サイドからも「田中ではまずい」との声があったと聞いています。

 田中外相は確かに失敗も多かったし、身勝手な振る舞いもありましたが、今回のNGO問題に関する限り、国民の大多数は「田中に非なし」だったように思います。

 それなのに、なぜ真相に蓋までして更迭を急いだのか?、不可解な話です。

 橋本派内では「小泉、よくやった」、「敬意を表する」、「英断だった」などのほめ言葉で、この対応を歓迎したと言われます。
 何が何でも「田中おろし」をもくろんでいた橋本派などにとって、小泉裁きは快挙だったのでしょう。が、小泉さん、これで外務省改革は頓挫してしまうのですか。

 一族議員の横やりで、事が簡単にひっくり返るという政官のまか不思議。こんな外務省の体質を改革しようとした田中外相を憎らしく思う抵抗グループが仕組んだ罠だ、という見方もあります。

 多くの識者が「田中おろしの根底には外務省機密費の上納問題がある」と指摘しています。

 「上納金はなかった」とする官邸や族議員を温存したい派閥、改革を好まない外務官僚には、田中大臣は目の上のたんこぶだったに違いありません。

 小泉さんはこれらの要求に臆してしまったのでしょうか。

 自らを「改革の士」と称して高支持率を維持していながら、抵抗勢力に組みするような対処の方法を選択した小泉さんの代償は大きいはずです。

 「3年は小泉政権で」などという周囲の持ち上げに、その気になって保身を考えたとしたら…。まさかそんなこと、あるはずないと思います。

 「自民党をぶっつぶしてでも断固、大改革を」と絶叫したのはつい先だってのことです。塩じいじゃあるまいし、よもや「忘れました」はないでしょう。

 このところ言い訳、すり替え、はぐらかし発言が目立つ小泉さんに「変だな」との思いはありましたが、今回の1件は「やっぱり変だよ小泉さん」。

 今回の真相をどう証すつもりなのか、お題目の改革をどう推進するのか?。お手並みをじっくり観察することで、私なりの小泉評価をしたいと考えています。