◆パキスタンを旅して


 パキスタン北部の辺境を旅してきました。

 首都・イスラマバード近くのラーワルピンディからカラコルムハイウェーを中国国境のクンジュラフ峠まで約900km、これを往復する旅でした。
 
 さらにカイバル峠のアフガニスタンの国境まで足を延ばすという、おまけ付きです。

 旅の主な目的は6000-8000m級の山々を眺めること、沿道の各所にあるバザールの活気に触れること、ガンダーラの仏教遺跡を見ること、でした。

 「世界に8不思議があったら必ず加わる」と、地元の人がのたまうカラコルムハイウェーは、聞きしにまさる難所でした。

 断崖を削って敷設した道路。いまにも崩れ落ちそうな巨石が頭上に待ちかまえています。
 
 落石や路肩崩れは毎度のことです。氷河がとけて出水したから、雨で地盤がゆるんだから…、それ以外にも常に落石の恐怖にさらされているのです。

 あちこちで復旧工事が行われています。その度に通行止めが繰り返されます。

 その下は怒濤逆巻くインダス川です。すぐ横を走るときもあれば、眼下遙かに見下すときもあります。

 冷や冷やドライブの代償は、真っ白な頂を見せてくれるナンガーパルパット(8126m)、ラカポシ(7788m)、バトゥラ(7785m)、ウルタル(7388m)、ディラン(7273m)などの山々でした。

 そんな高い山が、想像以上の近さで迫っていました。すばらしいの一言です。
 世界の長寿村として知られるフンザのホテルからは四方八方にそびえる雪山が望めました。

 その一つ、ウルタル峰は登山家の長谷川恒男さんが雪崩に巻き込まれて命を絶ったところです。そのような山が至近で眺められる贅沢さでした。

 沿道の各所に開かれている庶民の市場、バザールは活気と喧噪が渦巻いています。食べ物屋、雑貨屋、衣料品店…。ありとあらゆる店が並んでいます。

 砂塵が舞う雑踏。日本人の感覚からすると、清潔とはいえない市場ですが、揚げ物を食べ、豆類を食べたりする人々は、みんな明るさいっぱいです。

 カメラを向けてもいやがる人はいません。むしろ催促してポーズをとってきます。ここはイスラムの国です。市場に群がり、カメラの前に立つのはすべてが男性です。

 ガンダーラの遺跡も見逃せません。世界文化遺産に登録されている「タキシラの遺跡」、「タフティ・バーイの遺跡」などすばらしいものでした。

 辺境の旅ですから、山岳地帯に生きる人々の厳しい暮らしぶりをいやでも目にします。
 インダス川から400mも500mも上の絶壁。そのわずかな窪みに家を建て、段々畑を耕しています。

 水を汲むのにも絶壁を上り下りしなければなりません。まるで登山です。人も山羊や牛も大変な運動量。みんな痩せこけています。

 そんなにしてまで先祖伝来の生き方を守っているのは、その土地が「一番住み良いから」なのだそうです。苦労だ、と思うのはどうやらこちらの勝手な解釈のようです。

 わずか15日間の旅でしたが、ヨーロッパでは味わえないインパクトのある毎日でした。