◆念願叶ってボヘミアへ

 チェコとハンガリーへ出かけます。

 「ボヘミア」。チェコの「ボヘミア(地方)」に抱くそこはかとない憧れは、幼いころに習った「家路」にあるような気がします。

 「家路」はボヘミア出身のドヴォルザークが作曲した交響曲第9番「新世界より」の第2楽章です。

 それを知ったのはもちろん後年になってからのことですが、先生が「ブーガ、ブーガ」と奏でるオルガンに合わせて歌って以来、お気に入りの1曲になりました。

 茫洋とした旋律が性にあったのか、よく口ずさみ、よく聴きました。

 第2楽章を耳にすると、どういう訳か茅葺きの家から夕餉の煙が立ち上る風景が浮かぶようになり、郷里を離れてからはお袋を思い浮かべるようになりました。

 夕方にでも聴くと、胸にグッグと迫ってきます。第2楽章に親しんでからはすっかり「夕方に弱い男」になってしまいました。

 「新世界より」はドヴォルザークがアメリカに渡ってから作曲された名曲である、と知ったのはさらに後のことでした。
 黒人霊歌に刺激を得た、といわれます。

 その時までボヘミアの風景を表現した曲だとばかり思っていましたので、ちょっぴりがっかりしました。

 「でも、新世界はドヴォルザークの心に流れるボヘミアの精神そのものである」。勝手に解釈するようにしました。

 現在地に住むようになって6年になりますが、毎日午後5時に市役所のスピーカーから、あの「家路」が流れるのです。

 耳に出来るのは、わずか1分か1分半ですが「ボヘミア」は、私の心にますます染みこんでしまいました。

 「いつか、きっとドヴォルザークのふる里を訪れてみたい」。
 そんな思いが募って、ようやく念願が叶う機会が巡ってきました。

 「黄金のプラハ」はドヴォルザークやスメタナを輩出した土地です。
 私が抱いてきたイメージ通りの土地であってほしい、そう期待しています。

 「出かけて良かった」。そのような報告が出来ることを楽しみに出かけます。