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◎8月26日(土)晴・曇・雨 (3日目)
 
(モスクワ→→スズダリ泊)

●体調は良好
 3:30に目覚めましたが、5時間は寝られたので疲れが少し取れたようです。体温は36度。咳も痰も少なくて、まずは快調な夜明けです。6:00になっても上空に厚い雲が張り付いたまま。
 きょうはトレチャコフ美術館でロシアの現代美術を鑑賞した後、スズダリへ移動します。長距離ドライブになりそうなので、朝食をたっぷり詰め込みました。

●用心深く
 ポーターに運んでもらうスーツケースは部屋の中に置くようにいわれました。治安に不安があるためです。
 9:35、スタート。戸外に出たらひんやりした空気が肌を包みました。でも、寒くはありません。

●ピヨートル1世像
 美術館が開くまでの時間を利用して、ドライバーはモスクワ川と運河の合流点に建つピヨートル1世の像へ回り道してくれました。
 ピョートル1世は金色の巻物を右手に掲げて帆船の上に仁王立ちしていました。あいにくの曇天と逆光。それに黒っぽい像。表情などの詳細は確認できませんでした。  

●トレチャコフ美術館
 1892年にオープンしたトレチャコフ美術館はしゃれた建物でした。周辺の道路には出品者のイラストが飾られて雰囲気を盛り上げています。10:00の開館をめざして、多くの観光客が押し寄せていました。日本人と中国人が目立ちます。
 館内の2つのフロアに12世紀以降のロシア美術の傑作が集められ、60あまりの展示室で公開されています。モスクワの商人、トレチャコフ兄弟による収蔵数は10万点を越えるそうです。

●聖三位一体
 ロシアの美術史を知る上で貴重な美術館といわれますが、館内の撮影は禁止です。数ある展示作品の中で、とくに有名なのは、イコン画の傑作中の傑作といわれるアンドレイ・リュブリヨフの「聖三位一体」。60室に展示されていて、切手のデザインにもなっています。
  また、20室にあるクラムスコイの「砂漠の中のキリスト」、28室にあるワシリースリコフの「モロゾフ侯爵夫人」も人気。他にもキプレンスキーの「プーシキンの肖像画」、トロビーニンの「画家の息子の肖像」、ヴルーベリの「座るデーモン」などが注目です。ドストエフスキー、イワン雷帝などの肖像画もありました。
 美術館の教会に12世紀のイコン「ウラジミール聖母」もあります。これも切手になりました。

●対岸にクレムリン
 主な作品を鑑賞して戸外へ出ると、気温は20度でした。暑くもなし、寒くもなし。ちょうど良い気温です。橋を渡って、運河の対岸で待つバスへ。曇天の空に噴水が上がっていました。  
 橋の上からはクレムリンが望めます。大宮殿やイワン雷帝の鐘楼などがすぐ近くに見えました。食事に向かう車窓からもクレムリンの塔や観光客で賑わう様子がうかがえました。

●壺焼き
 12:00、近くのレストラン「スボロフ」で昼食。野菜サラダ、スープ、それに郷土料理の壺焼きでした。壺焼きは陶器の器に堅めのパン、いやパイ生地をかぶせています。それをフォークやスプーンで突いて穴を開け、中身をすくいます。
 壺の中にはキノコや肉などの具がたっぷりのクリームシチューのような熱々が入っていました。それにスプーンなどで崩したパイ生地を入れてかき混ぜ、ふうふういいながら食べました。これもまた美味でした。パイをかぶせてあるのは冷めないための工夫でしょうか。

●アパート群
 腹ごしらえがすんで、これからスズダリまで220kmのドライブです。菩提樹の並木を通り、郊外に出ると大きな建物の工場群が現れました。大きな煙突も見えます。
 殺風景な風景の中に現れたり、消えたりするのは高層のアパート群。石造り、煉瓦造りで暖かいスターリン時代のものが人気なんだそうです。ときおり目にする新築の中には、富裕層をターゲットにした民間経営のアパートもあります。

●傍若無人ぶり
 14:00、まどろみから目を覚ますと、バスは森林を切り開いた一直線の3車線道路を走っていました。といってものろのろ運転です。辺りの風景は変わって白樺や松、ナナカマドが増えてきました。ときどき日ざしが差し込んでいます。
 それにしてもいつまで続くこの渋滞。土曜日なのに…と思っていたら、3車線が2車線になっていたのです。ドライバーの傍若無人ぶりはここでも。未舗装の路側帯をどんどん前へ突っ込んでいきます。どこかに隙あらば割り込もうという魂胆なのでしょう。

●ナナカマド
 3車線に戻って車の流れが順調になりました。色づいたナナカマドが赤い実いっぱいつけ、枝が重そうにしなっています。「ナナカマドの実が多い年は寒くなります」。ガイドのオリガさんがいいました。
 モスクワは今冬、マイナス35度の日が2週間も続いて大変だったそうです。迎える冬もまた…。そう言いたげな表情でした。

●鎮魂の献花
 森林地帯に入ったようです。深い森、それが切れたら見渡す限りの草原、パラパラと散らばって草をはむ牛。それの繰り返しが続いています。人影はほとんど見かけません。
 先端が黄色くなった白樺もあって、季節は秋へ急ぎ足のようです。木々の中ほどや根元に、あるいは道ばたに花を飾っている光景が車窓をよぎります。交通事故でなくなった人々を慰霊するため、現場に献花しているのだといいます。こんなにも、と驚くほどの数です。

●車窓の風景
 道路は車線が広がったり、狭まったり、そのうえ工事も加わって快適な走りとはいきません。小さな集落がひょこんと現れ、カラフルな教会が過(よ)ぎったり。
 道ばたにはリンゴやジャガイモいりのバケツ、グラジオラスなどの花を並べたおばさんたちもいます。ポップコーン売りも出ていました。のんびりドライブはそれなりに見せ場を提供してくれます。

●カラフル集落
 モスクワを離れて2時間近くにもなると、アパート群に代わって平屋の農家が登場しました。1つの集落に10-20軒ほど。草原の片隅に寄り添うように並ぶ家々はカラフルです。
 ブルー、イエロー、ピンク、グリーン、レッド…。窓枠には決まって装飾がしてあります。ガイドによると、おまじないだそうです。

●トイレ休憩
 キェルガーチの小さなホテルで休憩。周辺の草原に様々な花が咲き、ナナカマドやグミがたくさん実をつけていました。ここは観光客のトイレ休憩場所になっているらしく、次から次へとバスがやってきます。トイレチップは10ルーブルでした。
 「プリャーニク」という菓子が有名だそうで、何人かがさっそく買い求めていました。バスに戻ったら添乗員が味見させてくれました。  

●退屈な時間
 森林が続きます。忽然と現れる集落に人気のない家がたくさんあります。夏場の3か月間だけ畑仕事をし、それ以外は都市部のアパートで暮らしているのだといいます。短い夏を象徴するような光景でした。
 同じ風景が繰り返されて退屈な時間になりました。車内には昨日聴いた男声コーラスの美声が流れています。しばらく耳を傾けました。

●ダイチャ
 流れがスムーズになって快走していたバスが急に減速。道ばたにパトカーが停車、警官がスピードガンを手に取締中でした。森林、草原の繰り返しはその後も続きます。
 林の中にバンガロー風の建物が点々と見えます。これがモスクワっ子の別荘、ダイチャです。排ガスを逃れてのんびり過ごしているのでしょう。

●ロシア語講座
 退屈しのぎにガイドのロシア語講座が始まりました。「スパスィーバ(ありがとう)」、「ドーブラエ ウートラ(おはよう)」などの挨拶語を全員が口をそろえて復唱しました。でも発音が上手くいきません。ロシア語は難しい。
 ガイドは反対に日本語が難しいといいます。彼女は日本語を話すガイドではありますが、ロシア語風発音で理解に苦しむことがしばしば。

●公用語
 ロシア語はもちろんロシア連邦の公用語です。スラヴ語に属する言語で、国語表記にはキリル文字を使用します。 旧ソ連の構成国だったベラルーシやカザフスタン、キルギスタンではいまもロシア語を公用語にしています。
 また、ウクライナなど、その他の旧ソ連諸国でもロシア系の住民を中心に広く使われています。国連の公用語の1つでもあります。

●キリル文字
 キリル文字は難しいです。例えばロシアは「Россия」、モスクワなら「Mockba」、ウラジミールなら「Влалимир、」といった具合で、ちんぷんかんぷんです。
 通りや沿道の看板、広告塔を見てもまったく理解ができません。「Г」はなんだっけ、「Д」は?、「Ф」は?…などと首をかしげている間に通り過ぎてしまいます。

●離婚率50%
 久しぶりにアパート群が現れました。大きな町だなと思ったらウラジミールでした。黄金の環の中核をなす町です。トロリーバスが走っています。店の前ではスイカやメロンを満載したトラックが休憩中でした。
 花嫁姿も見かけました。「ロシアは結婚式が多いですね」の質問に、オリガさんは「でも半分は離婚してしまいます」と答えました。歩留まり悪いなー。この花嫁はいつまで持つのだろう。つまらぬことを考えているうちにバスは町を離れていました。

●ナナカマド街道
 スズダリまではあと30km。もうひと踏ん張りです。左に進路を取ると、とたんに道路が悪くなりました。ぽんぽん弾む車体に流れるのはナナカマドの並木。どれも鈴なりの実をつけて続いています。
 行っても、行ってもナナカマド。並木というより、ナナカマド街道がふさわしい光景です。実はジャムやリキュールにするという話を聞き「これは誰のもの」との質問が出ました。特定の所有者はなくて、誰が採ってもいいそうです。

●農家は冬支度
 草原に刈り取った牧草のロールが転がっています。農家ではもう冬支度が始まっているようです。目的地が近くなって、添乗員がパスポートを回収しました。ホテルに預けるためです。
 17:30、スズダリに入りました。新築中の家が目立ちます。ここに住むのが裕福層の憧れになっているのだとか。

●彫刻の窓枠
 装飾された民家の窓枠が美しいです。道中もたっぷり目にしましたが、スズダリのはとくに凝ったものが多いように思われます。新築の家も同じです。精巧に彫刻された窓枠が次から次へと現れます。
 ドイツの哲学者ゲーテをも魅了したといわれますから、彫刻の窓枠は古くから町に伝わる伝統的な装飾なのでしょう。

●リゾートホテル 
 ホテル「リザリット」に到着。横に長い2階建てのホテルです。敷地がふんだんにあるからではありません。景観保存のために高層建築が禁じられているからです。
 ツーリストホテルと聞いていたので民宿程度を想像していたのですが、本格的なリゾートホテルです。部屋のスペースはやや狭く、バスタブはありませんが、清潔なので気分が良いです。224号は階段から近く、ポーターがスーツケースを運んでくれました。

●夜は軽く
 日本人客は別に2組あるだけで、ここまで足をのばす団体は少ないようです。熱いシャワーを浴びてすっきりした後は2階のレストランで夕食。メニューはキノコのスープ、魚(スズキ?)のソテーなどした。
 ロシア人の食事は昼はたっぷり、夜はやや軽くというのが普通だそうです。きょうに限れば、それほどの差は感じません。

●蜂蜜の酒
 今夜はこの地方の名物だというドリンクを勧められました。飴色をした蜂蜜の酒は8度、ナナカマドのリキュールは16度、コケモモの酒は24度です。アルコール度の少ない蜂蜜酒をなめてみたら甘口の酒でした。
 ロシアはビールの銘柄が豊富で、なかなか美味しいというのが上戸たちの評価。一方、ロシアの酒ウオッカは敬遠されがちです。

●酒臭い女性
 レストランのそばにフロアがあって、男女がバンドに合わせて踊っていました。なんという踊りか知りませんがかなり激しい踊りです。誘い込まれるように一行の数人が加わりました。
 社交ダンスが趣味という男性は大ハッスル。腰を振り振り頑張っていました。荒い息づかいで戻った感想は「ロシアの女性は酒臭い」でした。きっとウオッカをたっぷり飲んで勢いづいていたのでしょう。
 そういえば、ガイドが「ロシア女性のアルコール中毒(依存症)が社会問題になっている」といっていました。

●黄金の環
 ススダリはモスクワ近郊からボルガ川にいたる平原一帯の、いわゆる黄金の環の中にあります。この地域はロシアの原風景といわれて、近年ますます人気の観光スポットになっています。
 果てしない白樺の森や見渡す限りの大平原が広がり、そこに中世(16-17世紀)の面影を残すウラジミール、スズダリ、ヤロスラヴリ、セルギエフ・パッサートなどの古都が環状に点在しているのです。

●2つの世界遺産
 古都の各地にロシア正教会のドーム屋根が黄金に輝いているところから、いつからともなしに「黄金の環」と呼ばれる観光名所になりました。
 10余りある古都に共通しているのは、クレムリンがあり、ロシア正教の教会が多いこと、それぞれがモンゴルの襲撃を受けていることです。その中でウラジミールとスズダリ、セルギエフ・パッサートは世界文化遺産に登録されています。

●すでに暖房
 ロングドライブも楽しく乗り切れました。部屋はほどよい気温です。トイレ・洗面所の壁に這わせたパイプは触ると暑いほど。すでに暖房が入っていました。これは洗濯物の乾燥に好都合だと妻は大喜びです。
 明日に備えて21:00にベッドに横たわりました。外にはまだ明かりが残っています。白夜の名残です。疲れた〜。でも、心地よい疲れです。

●ごわごわ紙
 「ロシアのトイレットペーパーはごわごわしていて堅い」と聞いていたので2巻持参しました。これは正解。ホテルに備え付けのパーパーではお尻が痛くなりそうです。また、ウオッシュレット代わりに赤ちゃんの尻拭きペーパーも用意しました。
 日本を訪れる外国人が1番感激するのがウオッシュレットだと聞いたことがあります。その気持ちがわかるような気がしました。


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