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◎9月1日(金)曇・晴・雨 (9日目)
 (ペトロザヴォーツク→サンクト・ペテルブルグ泊)

●朝食は弁当
 きょうはまたサンクト・ペテルブルクまで435kmを引き返します。7:10、発車。朝食は昨夜受け取って、部屋の冷蔵庫に保管していた弁当です。さっそく、ヨーグルトとトマト、キュウリなどを食べました。
 夜中に鼻血が出てびっくりしましたが、いまは異常ありません。ちょっぴり青空がのぞいています。「キジー島でこの青空がほしかった」。まだ、愚痴っています。

●濃い朝霧
 前方が見えないほどの朝霧がたちこめ、バスは慎重運転を余儀なくされています。霧の中に浮かぶ農家の窓枠も装飾されています。しかし、スズダリのような凝った彫刻は見られません。塗料で縁取りしただけが多いようです。
 30分以上も濃霧の中を走り続け、乳白色に包まれていた幽玄の世界をやっと抜け出せました。あとは快調なドライブです。

●鮮やか紅葉
 沿道の林に朝日が当たっています。ポプラの葉がきらきら光り、紅葉が一段と鮮やかになってきました。オネガ湖を離れ、カレリア共和国のゲートを通過。さようならキジー島、です。
 ライトをつけて行き交う車も気持ちがよさそう。日中にライト?。森の中なので事故防止のためです。無手勝流運転が常習のドライバーたちにも几帳面なところはあるようです。これだけは薄暮でもライトをつけない日本人ドライバーの負けです。

●車のナンバー
 9:20、イネマ村のモーテルで休憩。足腰を伸ばして、さあ出発です。これだけの深い森なのに動物が飛び出すこともなく、「動物に注意」の標識も見かけません。
 退屈しのぎに、車のナンバーについて―。ロシアのナンバーは右の数字で、登録地域がわかるようになっています。78はサンクト・ペテルブルク、10はペトロザヴォーツク、77はモスクワ、51はムルマンスクといった具合です。

●路上でSOS
 起伏のない道路を快調に飛ばして10:05、オネガ湖から流れ出ている川を渡りました。大きな跳ね橋を通過する頃には再び曇天に。
 未舗装の待避所にはエンスト車が頻繁。トラックの運転手がヒッチハイカーのように手を上げてSOSを求めています。車検制度はないのか、と疑うようなおんぼろ車が堂々と走っているロシア。親切に修理を買って出るドライバーがいてくれるようです。

●路上販売
 12:00、キッシェリナ村のカフェで休憩。道ばたで2人のおばさんがバケツを並べて商売していました。のぞいてみると、ジャガイモ、コケモモの実、リンゴなどでした。コートを着て、冬のスタイルです。
 往路でもひと息入れたカプチーノが抜群です。先ほどの休憩ではエスプレッソでしたが、これもなかなかのもの。ロシアのコーヒーはまずいと言う人もいますが、自分には満足でした。

●孤独なドライバー
 5時間走ったので、もうひと踏ん張り。気合いを入れて乗車しました。道ばたに黄色や白い花が取り残されたようにぽつりぽつり。風に揺れる花々は去り行く季節への挽歌のようです。
 車にはお休みタイムのようで静か。ドライバーだけが頑張っています。孤独なドライバーに感謝です。

●私と思います
 13:40、サンクトペテルブルクに入り、ユーリーさんがマイクを握りました。彼は「私と思います」の表現をよく使います。妻が「私は思います」と教えても改めようとしません。
 いまも「私と思います」を連発中です。もと軍人、連隊長ガイドは筋金入りの頑固者です。

●遅い昼食
 バスは町の中に入りました。この2日間に気候の変化があったのか、フリースやウインドーブレーカーなどの厚着が目立ちます。バスを待つおばあさんは厚手のコート姿です。
 14:20、レストラン「タベルナ」で昼食。きょうも遅くなりました。メニューはサラダ、ピクルスのスープ、七面鳥など。ピクルスはロシアの生活になくてはならない保存食。キュウリ、キャベツなどたくさんあります。

●スモーリヌイ修道院
 運河クルーズの前にスモーリヌイ修道院を観光しました。1昨日、公園の奥に佇んでいた松ヤニの教会です。ネヴァ河畔の公園の中にブルーと白が調和して建つのは、19世紀の修道院と女学校の寄宿校舎。
 ピョートル1世の松ヤニ工場(倉庫)の跡地に建てられたので、市民は松ヤニの教会と親しんでいます。エカテリーナ2世が貴族の令嬢たちの学習の場として建てたそうです。

●司令本部
 1917年の10月革命では、司令本部が置かれ、レーニンたちがここで指揮を執ったそうです。修道院の内部は見ませんでしたが、何もなくてコンサートホールや絵画の展覧会などに使われています。
 寄宿校舎は市役所の1部になっています。こんなところで執務、というのはどんな気分でしょう。 

●運河クルーズ
 16:30、フォンタンカ運河からクルーズ船に乗りました。スリッパと呼ばれる平たいボートが観光客を乗せて行き来しています。いまにも降り出しそうな厚い雲。これから1時間あまり、船上から「北のベニス」を眺めることにします。ボートの乗客は一行だけなので、ゆっくり見物ができそうです。
 サンクト・ペテルブルグは面積606.8平方kmのうち、ネヴァ川と幾筋もの運河や水路が10分の1を占める「水の都」です。

●42の島
 市内は42の島で構成されており、その間をネヴァ川とフォンタンカ、オヴァドゥヌイなど80あまりの運河や水路が走っています。橋の数は開閉式を含めてざっと350。「北のベニス」とか「水の都」とかいわれるのもそのためです。
 ボートは静かにスタートしました。運河の両岸には石造りの歴史的建造物が建ち並んで、陸上で見るのとは趣が違います。

●スリッパ
 真っ先に登場したのは赤煉瓦のパウロ1世宮殿。ボートは左折してモイカ運河へ。橋を潜る度に「頭に気をつけて」の注意が飛び交います。スリッパと呼ぶ平たい船体はこのためだったのです。
 ロマノフ朝の馬小屋が見えます。馬小屋といっても宮殿並みの建物です。馬小屋橋を通過して、狭い冬の運河へ。カラフルな血の教会が見え隠れしています。

●競う建築美
 ネヴァ川に出ると視界が開けて、パノラマの風景が展開しました。勢いよく噴水が上がり、ヴァシリエフスキー島の岬の中央海軍博物館や宮殿橋、ロストラの灯台柱などが遠望できます。
 ペトロパヴロフスク要塞には黄金の教会が聳え、目を転じれば横長のエルミタージュ美術館、黄金ドームのイサク聖堂、血の教会などが建築美を競い合っています。  

●ロストラの灯台柱
 ヴァシリエフスキー島の岬の先端に建つ2本の赤い塔は、移動中に車窓から何度も眺めたロストラの灯台柱です。塔は1810年に建てられ、円柱の高さは32m。台座の彫刻はロシアの4つの川、ボルガ、ネヴァ、ヴォルホフ、ドニエプルを表現しています。
 海戦勝利記念柱でもあり、祭日などには天辺に明かりがともされます。周辺は旧取引所広場で、市民や観光客で賑わっています。ここにも新婚さんがいました。

●ペトロパヴロフスク要塞
 ペトロパヴロフスク要塞はザーヤチィ島に設けられた保塁です。1741年、ピョートル1世が北方戦争の軍事拠点として設けました。
 サンクト・ペテルブルグ発祥の地といわれるところ。高さ12mの城壁に囲まれた要塞は、函館・五稜郭のモデルになりました。要塞は後に刑務所になり、作家のゴーゴリやドストエフスキーも入れられたそうです。
 要塞が「ウサギ島」と呼ばれているのは、ピョートル1世が最初に見た動物がウサギだったためとか。

●ペトロパヴロフスキー聖堂
 要塞内に高さ122.5mの黄金の鐘楼を聳えさせているのはペトロパヴロフスキー聖堂です。聖堂そのものは修理中で覆いがしてありました。1733年に建造され、大帝ピョートル1世ら歴代皇帝の墓所があります。
 女帝エカテリーナ2世は34年も前に亡くなった若き夫、ピョートル3世とともに眠っており、2つの棺にはロシア語で「命あるときに別れ、死後結ばれん」と書かれているそうです。

●旧海軍省
 旧海軍省のアーチ状の門も見えました。ピョートル大帝が1705年、ネヴァ川左岸に造船所を建設したところ。ペトロパヴロフスク要塞とともに市内で最も早く拓けた場所です。そこに建つのがいまでも海軍学校に使われている旧海軍省です。
 建物は1823年にロシア人建築家によって改築され、アーチ状の門の上に船のマストをイメージした金色の尖塔がそびえる現在の姿になりました。28体の彫像が尖塔の基部を囲んでいます。これらは方位や天文の女神などを主題にしているそうです。

●巡洋艦オーロラ
 風が強くなり、雨が落ちてきました。クルーズも大詰めです。トロツキー橋(三位一体の橋)を潜って進むと、グレーの軍艦が停泊していました。先日も見た巡洋艦オーロラです。いまは海軍中央博物館として公開されています。
 オーロラはエルミタージュ美術館の冬の宮殿に向かって、ロシア革命(1971年10月)を告げる発砲をしたことで知られています。

●ネヴァ川
 ネヴァ川はロシアの西北部にあるラドガ湖から流れ出し、サンクト・ペテルブルク市内を通って、フィンランド湾に注ぐ全長74kmの川です。運河や水路の源となって市民の生活を支えています。
 小雨の中をスリッパが行き来しています。寒さにたまりかねて毛布にくるまる観光客も見かけます。これほどたくさんの船がクルーズしているとは思いませんでした。

●力不足を痛感
 バスはネフスキー大通りで、個人観光を希望した5人を降ろして、17:15にホテル・プリバルチスカヤに到着。5人は「トラブルは自己責任」との一筆を添乗員に提出しました。 
 ポーターに頼むと遅くなるというので、今度もスーツケースは手運びに。エレベーターの乗り場まで運ぶ途中の階段で転んでしまいました。持ち上げたつもりですが、段差に引っかってしまったのです。まだまだ力不足。がっくりしました。

●ゆっくり食事
 ホテルは7日目にも泊まっているので勝手は知っています。部屋はは7階。やはり重い扉を4回開け閉めしてたどり着きました。
 夕食はホテルで。バイキングなので野菜を多めに摂りました。ピーナッツの揚げものが好評。今夜は宿泊客は少ないようで、ゆっくり食事ができました。
 きょうも晴れたり、曇ったり、降ったりの天気。これから3色天気と呼ぶことにします。

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