後編4(市立敦賀病院編B


11月1日
・杖で歩けた
 [状況]赤飯が食べたいと生意気を言ったら、妻が持ってきてくれた。快晴で野坂岳が美しい。相変わらず咳がでる。ひどい咳込みは減少したが、軽い咳が止まない。岸田医師は様子を見たうえで、薬の投与も考えるという。
 リハビリ室を歩行器で4周した後、大塩療法士が「これで歩いてみますか」と杖を与えてくれた。恐る恐る足を踏み出す。頼りのない足取りながら2周できた。まさかと思える早いテストだった。

11月2-3日
 [状況]2日はどうも調子が悪い。昨日、杖で歩いた疲れからか。歩行器で4周、杖で1周しただけでリハビリ中止。友人のTさんが水ようかんなどを届けてくれた。夕刻、咳が多くなって心配。
 3日は体温が37度台に上がった。このところ36.5度前後を保っていたのに…。体もだるい。自主トレを休んだ。岸田医師が喉を診察したり、胸や背中を聴診した。夜は脇に氷を入れて寝た。

11月4日
 [状況]体がだるい。体温はそれほど高くないが、風邪でも引いたのだろうか。心配だ。血液検査、レントゲン撮影をすませてリハビリ室へ。ベッドからの立ち上がり訓練も思うようにいかず、歩行器で2周しただけ。
 岸田医師が検査結果を報告。肺に陰は残っているが炎症はなく、白血球は9000ほどで悪くないという。もう1日様子を見て、今後の治療方針を決めるといった。この期に及んでの逆戻りはごめんだ。
 夕刻、新谷医師が来訪。「元気になりましたね」と喜んでくれた。少し歩けるようになったと報告したら「みんなNさんの努力のたまものなのよ」と嬉しがらせた。

11月5-6日
 [状況]5日は体温が36度台に下がった。しかし、体のだるさはとれない。食欲も落ちているが、妻は無理やり食べるように促す。
 6日も体温は36度台をキープ。体調は少しだけましに。

11月7日
 [状況]体温は36度、37度台を行ったり来たり。看護師が測定する度に一喜一憂する。リハビリは歩行器で室内を4周、杖で2周。4日よりも足取りが軽かった。
 リハビリ中の楽しみは大塩療法士と会話。世間話、時事問題などさまざまだが、最近の話題はNHKの韓国ドラマ「チャングムの誓い」。付き添いの妻も加わって話が弾む。体だけでなく心のリハビリにも大いに役立つ。週に1回だけだが、妻にもテレビを見る余裕が出来たことが嬉しい。

11月8日
 [状況]尿を検査。好き嫌いが多くなったので、妻は少しでも栄養をとアジやカキのフライなど揚げ物も追加してくれる。今日は大きなカキフライ。味覚が50%ほどしか戻っていない感じなのが残念。
 リハビリは高さ20cmの踏み台を上り下り。その後、歩行器で廊下を少しだけ歩いた。「いまの調子では正月の外泊も1泊だけ。これからの1か月半で足、腰にどれだけ力がつくか、それがポイント」とは大塩療法士の弁。
 「年内には退院できるかも」との密かな目論見は完全に外れた。そんなに甘くはない。 
 池田院長回診。「まだ退院は出来ないのか」との問いに、小林医師は「リハビリ次第」と答えた。 

11月9日
・箸を使う
 [状況]最近はシーツの交換を清掃係が担当。看護師は重症患者にしかしない決まり。交換の時、部屋の隅にある椅子まで杖なしで歩いた。わずか数歩だが、これもまた感激の一瞬だ。
 昼食時、愛用のフォークが折れて、箸を使ってみたら上手く出来た。先日からの特訓が実を結んで、これもまた大きな喜び。リハビリは腕立て伏せ、杖歩行など。歩行器は卒業したよう。
 友人のTさんがホームページの掲示板に投稿された激励や写真をプリントして持ってきてくれた。書き込んでくれた人は、顔も住所も知らない方がほとんど。「頑張って」のひと言は千金の値がする。
 夕刻、看護学生さんが、書き直ししたリハビリのイラスト集を届けてくれた。今日は嬉しいことが多かった。

11月10日
・CTスキャン
 [状況]CTスキャン。車いすで出かけたら男性技師が「ひどかったときを想像できませんね」と回復ぶりを喜んでくれた。結果は肺に陰があった。血液検査で白血球が1万に増えたのが気がかり、と岸田医師。ちょっとした炎症で増減があるので、即断は出来ないともいう。
 昼間は紙おむつを外してトランクスに切り替えた。これも1歩前進。

11月11-12日
 [状況]11日は岸田医師がCTのフィルムを持参。8月30日撮影分と昨日のフィルムを比較して見せた。8月は内臓が膨れ、肺も曇っていたが、昨日のはすっきりしている。小林医師も肺炎の心配はないと言ってくれた。
 12日は体温が高くて氷の世話になる。

11月13-14日
 [状況]13日も体温がやや高め。どうもすっきりしない。夜間、K看護師がときどき様子を見に来てくれた。
 14日のリハビリは杖で2周。休憩の後、また2周した。あとの2周は足がややもたついたが、本人は満足。土、日と休んだので、上手く歩けるか不安だった。
 血液検査で気になるところがあるというので、痰の検査もする。体温は37度を超えて心配。

11月15日
 [状況]15日はリハビリで成果。マッサージの後、杖で室内を4周。休みなしで歩けた。握力は左右とも16。まだ子供並みだが、半月ほど前は10と13だった。
 体温は37.5度を超えるときもある。痰の検査結果は炎症があるようには思えず、異常なしとのこと。熱があり、咳が多いのはリハビリの疲れでは、と岸田医師は言う。夕刻の体温は37.8度。
 
11月16日
 [状況]日中は体温が36度台に落ち着き、体のだるさも薄れた。このところ、母親の看護をしているNさんや清掃係のAさんから大根や白菜、柿などの差し入れが続く。今日の昼食にもいただいた大根の煮物が追加された。妻の味がやはり慣れた味だ。
 血圧は安定しているのだが、夕刻になると38度近くまで体温が上がる。心配だ。小林医師にその旨をを伝えた。

11月17-18日
 [状況]17日は採血、採尿とレントゲン。尿検査とレントゲンは異常なしだったが、血液検査で心配が見つかった。どこかに炎症が起きている疑いもあり、造影剤で調べるという。体温の高い状態は月初めから続いており、どうやら風邪によるものではなさそうだ。
 18日は体温が36度後半で落ち着いた。リハビリでは杖をついて、近くの内科受付まで歩いた。外来者が多いので、怖くなってすぐに引き上げ。夜、咳をしたら喉から血が出た。M看護師が「医師に診てもらいます」といって血を持ち帰った。

11月19-20日
・造影剤注射
 [状況]19日は放射線科で造影剤を注射。21日に体内の撮影をするための準備。体温は朝から37.5度前後。また、喉から出血。3日間の痰を採取して調べることに。このところ自主トレも休みがちだ。
 20日、体温は36度台に落ち着いたが体がだるい。好物のカレイの煮付けも半分ほどしか喉を通らなかった。夜、下剤を飲む。明日の造影剤撮影に備えて腹を空にするため。

11月21日
・造影剤撮影
 [状況]下剤の効果てきめん。夜中に5回もトイレに行った。最近、壁伝いに歩いて室内のトイレへ行けるようになっている。造影剤撮影の前に、さらに浣腸が予定されている。初体験なので朝から緊張気味。
 撮影はCTスキャンに似ていた。岸田医師が検査の結果を見せてくれた。肺が黒く写っている。「炎症の個所は黒く写ります」と聞かされていた。小林医師に相談するというが、これは一大事。 

11月22日
・再び点滴
・ネックレッド症候群
 [状況]昼間は平穏。リハビリでは杖で室内を4周。車いすを押しながら歩けるようにもなった。昨日の下剤がまだ残っているようで気分が悪い。
 岸田医師が血液検査の結果が芳しくないので、点滴を再開するという。16:40、抗生剤の点滴が始まった。前にも使った薬だ。ところが30分後、みるみる顔が赤くなった。やがて頭や喉、背中がむちゃくちゃ痒くなり、目も真っ赤に。体温も上がって、ただならぬ事態。
 T看護師が岸田医師に連絡し、アレルギー予防薬を点滴。1時間後に何とかおさまったが、原因はアレルギーによるネックレッド症候群とわかった。

11月23-24日
・呼吸器内科へ
 [状況]23日は点滴の抗生剤が替わった。点滴テストをし、注入に1時間40分もかける慎重さで、何事もなかった。最近はテレビも少し見るようになった。早慶戦ラグビーなどスポーツとニュースが中心。
 24日は造影剤撮影の結果、呼吸器内科の診断も必要というので、外来患者に混じって診察してもらった。直前に撮影したCTスキャンの結果は前と変わらず、出村医師は「どうして肺が黒く写ったのかわからない」と首をかしげる。
 薬のアレルギーも考えられるが、とりあえず、うがいをすることと舌をきれいにするように言われた。

11月25-26日
 [状況]25日から点滴を止め、飲み薬が減った。「薬のアレルギーがあるかも」という呼吸器内科・出村医師の指示によるもの。咳込みや痰は相変わらずだが、体温は安定している。血液検査は少し改善が見られた。岸田医師は22日のアレルギー予防薬が効いているのではという。
 26日は体温、血圧ともに安定。車いすを押しながら病棟を散歩。

11月27-28日
 [状況]27日は車いすを押しながら病棟の廊下を100m近く歩いた。やや疲れ、夜中に咳込みが多かった。
 28日は岸田医師が血液検査の結果について「肺の炎症は見られず、腎機能も正常。白血球も安心できる状態」と説明。

11月29-30日
 [状況]29日は血圧、体温とも安定。咳込みが多い。
 30日は杖でリハビリ室を4周。歩行姿が様になってきた。

ページ: TOP 10 11