●ギンギラギンの車が走る

 
パキスタンの首都、イスラマバード。空港を出たとたんに度肝を抜かれたギンギラギンの車の話です。

 何がすごいって、車体の装飾のどハデなこと。世の中にこんな車があったのか、と目を疑わせるすさまじさです。フロントの一部を除いて車体のいたるところに装飾が施されています。
 ブリキを様々な形に切り抜いてデザインしたり、大小のアルミホイルをペイントしたり、豆電球、風車、とにかく飾れるものなら何でも飾ってしまえ、といった調子です。また、荷台の枠には蓮などの花、風景、動物、仏像まで、実に様々な絵が描かれています。

 まるで全身、極彩色のくりからもんもん(入れ墨)のごとし、です。「ギンギラギン」といわずして、他にどのような形容があるのか、と思うほどのデコレーションなのです。
 ガイドブックなどにも紹介されてはいますが、まさかこれほど、とは思ってもいませんでした。

 いつ、何のために始まったのでしょうか。29歳の現地ガイドは「生まれたときには、すでにありました。でも、だんだんにぎやかになってきます」と言っていましたから、ギンギラギン車の歴史はかなりのものです。
 バスのドライバーは「楽しいから、みんな競走して飾ります」と言っていましたが、理由はよくわかりませんでした。

 ギンギラギンはトラックに限りません。民営の大型バスや中型バスも同様です。さらに相乗りタクシーのミニバンや軽トラックも負けていません。
 トラックやバスは運送会社などの経営者がデコレーションの費用を負担しますが、車の購入費の2倍はかかるそうです。

 さらに驚かされるのが、トラックの荷台の枠が日本で見るトラックの倍の高さに嵩上げされ、フロントには王冠のようなせり出しまで設けています。
 少しでも多くの荷を積めるように工夫したのでしょうが、その枠全体にハデな模様が描かれているのですから、それはそれはにぎやかなものです。

 民間バスの屋根には必ず人を乗せるための長椅子と簡単な枠が設けられています。中に入りきれない乗客は屋根の上のどうぞ、というわけです。

 このようなギンギラギン車が物や人を満載して難所のカラコルムハイウェーを走っています。岩だらけの山岳。ギンギラギン車は殺風景に彩りを添えていることだけは確かです。

 時々、黒い布をなびかせている車もあります。これはお守りで、装飾とは関係ありません。夜ともなると、電飾が花を咲かせたように光の固まりとなって迫ってきます。
 パキスタンは車にまつわる話題が多いところです。話の種はいくつもあります。ぼちぼちと披露したいと思います。
         
               (2000年9月のことでした)