●GAPは荒野に命与えた

 トルコは東南部アナトリア地方。壮大な国家事業で荒野が蘇った話です。

 ガズィアンッテプから南下してハランへ。バスの車窓に途切れることのない肥沃な農地が続きます。これがGAPと呼ばれる東部アナトリア開発事業によって二毛作、三毛作が可能になった農地なのです。

 GAP計画はユーフラテス川(トルコ語でフラット川)とチグリス川(トルコ語でディジェレ川)の河口付近一帯と、二つの川に挟まれた平地を対象に進められています。

 アダナ県から東の8県にまたがる地域に、22のダムと19の水力発電所を建設します。その結果、170万haが灌漑(かんがい)され、年間に273億kWhが発電されるという水資源利用計画なのです。

 トルコ政府が進める開発事業の中でも最大規模のプロジェクトといわれています。車窓から眺める広大な農地は、真っ先に完成したアタチュルクダムによる灌漑でもたらされたものです。

 ピスタチオの木々が実を付けているかと思えば、どこまでも続く緑は綿花畑です。葉タバコ畑が広がっています。
 数年前までは雨不足のために3年に1回しか収穫できないこともある半乾燥地帯の荒野だったのです。それが二毛作、三毛作をも可能になったのですから、ダム様々です。
 真っ青な水を蓄えたアタチュルクダムは、まさに荒野に命を与えたことになります。

 日本では「無駄なダム」建設計画が住民運動の俎上に載ったりしますが、広大な荒野を抱えるトルコではまだまだ有効、かつ必要な事業なのです。
 「トルコは世界でも数少ない自給国です」。トルコ人の自慢は、事業の進行に伴ってますます膨らんでいくことになります。

 目の前に流れる緑の風景を羨ましく思い、苦しい財政の中でも有効な事業の推進に積極、果敢に取り組む国の姿勢に拍手を送りたい気持ちになりました。

                 (2001年9月のことでした)