●国持てなかったクルド人

 トルコは城塞都市、ディアルバクルを中心とした東南部。各地に分散して住むクルド人の話しです。

 ディアルバクルの人口の半分を占めるクルド人とは、一体どんな民族なのでしょうか。独立を求めてトルコ政府と事を起こしたり、イラクでももめ事があってニュースとして報じられたことがあります。
 しかし、大方の日本人には遠い国の、縁の薄い民族の話しでしかありません。

 クルド人は、もともと西南アジアのクルディスターンという地域に住んでいました。羊の飼育と農業を生業とする半遊牧民族で、定住生活を営むようになってからの歴史は浅いのです。
 「国を持てなかった民族」と形容されるように、各国に分散して定住していますが、最も多いのがトルコ、次いでイラン、イラクなどです。トルコには250万人前後が暮らしているそうです。

 その他、旧ソ連のアルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタンなどにもいて、正確な人数はわかっていなません。
 中近東の国境線の多くは、第1次世界大戦後にイギリスやフランスなど、いわゆる列強といわれた国々の主導で設けられました。表向きは、それぞれの民族が自から決めた、ということになっているのですが…。

 その線引きから漏れたのがクルド人。それ以後、近隣諸国に分散して生活するようになったわけです。
 歴史的な背景をスクリーンにしてクルド人を見てみると、「クジキスタン」を仮想の国家として、独自の国家を求める気持ちも理解ができるというものです。
 しかし、既成の国家にも、それぞれの事情があるわけで、おいそれとは認められないのでしょう。

 民族運動が各地で起こっています。そのすべては複雑な歴史の糸が絡み合っての事なのですが、だからといってテロまがいの殺戮は許されることではありません。
 島国に住む日本人は民族運動に鈍感だと言われます。クルド人に接して、辛い思いにさせられたのと同時に、歴史の複雑さを改めて見せつけられました。

        (2001年9月のことでした)