●「ニャーオ」は恋の宣言!

 トルコに伝わる恋の物語。現地ガイドから得た抱腹絶倒の風習のいくつかを紹介します。

 まず、中部アナトリア地方の風習です。
 恋人ができた娘さんは自宅の屋根に上がって「ニャーオ、ニャーオ」と絶叫します。これは両親や近所のみなさんに「恋人ができましたよ」という恋の宣言です。
 もしも親が反対したら、再び屋根の上から「ニャーオ、ニャーオ」。これは近所の人たちに「うちの親父は分からず屋」と吹聴して、親を困らせる作戦です。

 それでもなお反対されたら、今度は父親の靴を外に放り投げます。「娘さん、可哀想」という近所の同情を集めて、親が折れるのを期待する「だだっ子作戦」というわけです。ちなみにトルコでもネコの鳴き声は「ニャーオ」です。

 次はエルズルムあたり、東部アナトリア地方の話です。
 長い立派な口ひげを生やしている若い男性を見かけたら、彼は「ただいま彼女を募集中」なのです。2、3年頑張ってのびてきたら薬品で固めて、左右にピント延ばします。これ見よがしに町中を歩き回って女性を惹きつけるという作戦です。
 自然界には恋の季節になると、自慢の羽を広げたり、ダンスをしたりしてメスの気を惹くパフォーマンスが繰り広げられますが、同じ発想なのです。
 時には70cm、80cmという自慢の髭を持つ男性がいたり、延ばすことに興味を覚えて肝心の嫁探しを止めてしまう男性もいるらしいのです。この風習はディアルバクル辺りにも残っているという話。

 次は温泉で有名なパムッカレ地方です。
 屋根の上にガラス瓶を立てた家があれば「我が家には年頃の娘がいますよ」との合図です。「われこそは」と思う男性は、その瓶を目がけて投石し、見事に割れば娘さんと交際できる権利を得たことになります。
 6年前に訪れたとき、ガラス瓶を立てた屋根を、この目で見たことを思い出しました。

 最後にコンヤ地方の風習です。
 息子さんが玄関に脱ぎ捨てた父親の靴に釘を刺すことがあります。「どこにも行かないで僕の話しを聞いてほしい」という意思表示です。これで父親は「息子の恋」を知るというわけけです。

 どれもこれも「ほんまかいな」と疑いたくなるような話しばかりですが、目撃した風習もありますし、髭の話しは日本の雑誌でも紹介されたことがあったように記憶しています。
 ところ変われば……、信じられないような風習があるものです。

       (2001年9月のことでした)