●イタチごっこ規制と違反

 車の排ガスが充満するイランの首都・テヘラン。汚染防止の規制と覚悟の違反を繰り返すドライバーとの追いかけっこの話しです。

 「テヘランは排ガスのすごい町」と知って出かけたのですが、その現実を目の当たりにせずに旅を終えることが出来ました。
 私が訪れたのはイスラム歴の正月休みの最終日。国内を観光して戻ったのは風の強い夕方。それが幸いしたようです。

 イランには車検制度がありません。しかも世界有数の産油国でガソリンは1リッター7円ほど。いったん入手した車はとことん使いきるのが、これ常識、という国です。
 黒煙をまき散らしながら走る廃車同然のオンボロ車の、何と多いことか、です。排ガス公害も当然のように思われます。

 だからといって、汚染を放置しているわけではありません。防止対策はとられているのですが、現在のところは規制と違反とが追いかけっこをしている状態のようです。

 市街地へは6:00から19:00までタクシーと救急車以外の一般車は乗り入れが禁止されています。しかし、主要道路は車の洪水です。オンボロのペーカンも頑張っています。私たちのバスも当たり前のように乗り入れています。
 「違反なのでは?」。「そうです。だから早く通り過ぎないと…」。ガイドとの会話です。

 違反者は1万リアル(150円)の罰金を科せられるのですが、そんな規則はお構いなしの交通量は、日本と違って点数制がないので、商売人は罰金を覚悟の上で違反通行をしているのです。

 摘発されれば「運が悪かった」。近くで監視するお巡りさんに「ハイ、罰金」と1万リアルを差し出してお終いです。ここでも「いつもニコニコ現金払い」の精神が発揮されていました。

 排ガスを減少させるための規制は、かくのごとしです。商売優先に押され気味で効果は上がっていない様子でした。

 違反通知表がベタベタ貼られた路上駐車もめだちます。駐車違反の罰金は5000リアル。商売人にとっては負担にならない金額なのでしょう。

 晴天の日なら、いつもザーグロス山脈の連山が見られるようになるまでには、まだまだ先が長いようです。

           (2001年4月のことでした)