●インカ帝国華やかに復活

 ペルーはインカ帝国の首都だったクスコ。年に1回、華やかに繰り広げられる帝国復活の「インティライミ」の話しです。

 インティライミは冬至に行われる太陽の祭りです。皇帝役がその年の収穫を神に感謝し、翌年の豊作を祈願するインカ帝国最大の催事。
 クスコの町にこの日1日だけ、インカ帝国が復活するのです。

 サント・ドミンゴ教会の太陽の神殿で開会の宣言をした皇帝と女王(役)は金ぴかの御輿に担がれてサクサイワマン遺跡のメイン会場へと姿を現しました。
 インカの旗を掲げた兵士たちが石垣の上を右へ左へと走り、丘の上の神殿跡からきらびやかな衣装の女性たちが下りてきます。

 いよいよ祭り本番のスタートです。どんな場面が展開されるのか。興味が高まります。
 御輿の女王が観客席の前を通り、広場中央に設けられた祭壇の前で降りました。貢ぎ物を手にした女性たちが列を成します。

 兵士たちが警護に当たる中を皇帝の御輿が現れました。女性たちはひざまずき、兵士たちはひざまずいたり、直立不動の姿勢で迎えます。
 祭壇の上では属国の長や家臣たちが恭順の姿勢を示しています。

 祭壇に上がった皇帝は太陽の神に収穫の感謝を述べ、そして来年の豊作を祈願しました。さらに族長たちから献上リストの報告を受けた後、チチャを飲み干して民衆と喜びを分かち合いました。
 やがて四方の藁に火がつけられ、白雲の中でインティライミはクライマックスを迎えます。

 祭壇上の奉納台に1頭のリャマが乗せられました。生け贄献上の儀式です。リャマはあっという間に腹を切り裂かれ、心臓が取り出されました。
 ぴくぴく動く心臓をワシ掴みにした皇帝は、それ太陽にかざしました。血管の浮き具合を見て、来年の農耕を占ったのです。

 女性たちの歓喜の踊りが始まり、その輪に各部族の男女の民族舞踊が加わりました。
 インカ時代と現代が一緒になって広場を乱舞。皇帝が御輿で広場を1周し、観客に挨拶してフィナーレとなりました。

 祭りの内容は毎年少しずつ変わっているらしく、見物2回目という女性は「以前はもっと簡素だった」と話していました。

 観光客の人気が高まるに連れて、内容にもショー的な要素が加わってきたのでしょう。
 今後、どのような形になるかは知るよしもありませんが、皇帝の宣言、生け贄の献上、この儀式だけは未来永劫、普遍に違いないと思いました。

            (2002年6月のことでした)